草の上の記し

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Black Cycの世界③〜蟲使い・蟲くんと櫻井夢美の遍歴〜

 蟲は竿役、[欲の解放]を促す道具、かつ家族にもなる。

 

 

 

 これは踏み込んだエロゲ批評ではないです。ただの私のオナニー、雑記です。紹介し、見えてくるBlackCyc世界に自由に各々が触れるというものです(すこしでも感じてくれたら幸いです)。でもこれを見てやりたくなったら是非、この世界に踏み込んでみて下さい。きっと満足させてくれるでしょう。

 

 

 

 『蟲使い』は『闇の声』が当時看板であった2003年に[欲の解放]要素をそのままに、それを促す役を逸脱した人間ではなく蟲という道具に近い武器異生物にあげた作品。

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 『EXTRAVAGANZA 〜蟲愛でる少女〜』はそれから3年経った2006年に登場。この作品は[欲の解放]を手放し、前者の世界を押し広げてゲーム要素を殺しシナリオを重視したBlack Cycの金字塔であり、不朽の代表作。(流れに逆らったソフトマゾ作品『夢幻廻廊』、オカルティックにかつダークさを減らした『闇の声』にシナリオをのせたような作品『ゴア・スクリーミング・ショウ』、とブランドの色を変色させていっている時期)

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 この二つの作品のヒロインの特徴が対になっているのでそこも面白い。

 まず『蟲使い』のさわりを。

 主人公は蟲使いの「志藤蓮」。彼は滅ぼされた蟲使いの一族の生き残りで、もう1人姉に相当する幼馴染みの歳上の女性「風ノ宮紫愛」と共に生活していた。

 彼ら蟲使いは暗殺などを生業とする闇の世界の住人で、現代に取り残された旧い一族である。それは1人の男によって2人の目の前で滅ぼされた。男は蟲使いが対抗できない力を持っており、尽く敗れていった。2人は運良く生き延びることができたのだった。

 そんな過去を持つ彼らは犯罪まがいの仕事を貰い衣食住を保っていた。

 ある日大財閥の神武コーポレーションの会長令嬢「神武美弥香」を誘拐する依頼が舞い込んでくる。誘拐するにも彼女のガード達を無力化しなければ事は運べない。そこで「蓮」は7人も護衛はいるが、全て女であることをいいことに蟲を使い責めて、無力化し監禁することに決めた(制限時間有り)。

 次にゲーム要素。

 日の終わりごとに蟲に経験値を割り当てて育成し、護衛と戦う。強敵には淫蟲を使い事前に弱らせておく([欲の解放(肉欲)])ことも。

※やはりここが個人的に好き。ユーリアさんは個人的に好き。

 難易度は高くありませんのでご安心を。楽しく屈服させよう!!

 プレイ内容は蟲を使った異生物性交が主。それがどういうものなのか知らない人は新世界の扉を開くことになります。

 この7人を攻略し誘拐を無事成功させて終わり!……ではなく、「神武美弥香」メインのストーリーが展開されていきます。そしてそこにあの蟲使いの一族を滅ぼした男が送られてくる。

 ここがこの作品の特徴です。前半はゲーム要素なのに対し、後半はシナリオが盛り込まれているという変わった内容。他のキャラは影が薄くなってしまいますが、彼女がメインヒロインですから仕方がありません。

 次に[欲の解放]。この作品は肉欲を無理矢理視覚化させる。性欲を淫蟲で彼女らの肉体に産ませ、それを大きくし、戦闘で火照りまくった身体を責める。『闇の声』よりゲーム性は面白く、女ソルジャーを屈服させて楽しむ人はこの作品の方が向いている。小夜子役は蟲という道具、武器に変身してこの作品の中心に座するのである。

 この作品は短編に近いのでここまでとし、次に大長編の『EXTRAVAGANZA 〜蟲愛でる少女〜』を見ていく。

 まずさわりを。

 蟲使いの一族から抜け出してきた「煉悟」は神武コーポレーションと関わりのある蟲を研究している「西正人」に拾われ、彼の持っている蟲のデータをとらせて報酬をいただき、生活をしていた。

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極悪非道の小物です。

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こちらは大人気の西先生です。通称Dr.West

 

ある日「西正人」から蟲使いの女と戦い、データをとらせてほしいと仕事を貰う。その蟲使いは「煉悟」を追っていた。当日深夜のあるビルの屋上で、戦闘は苛烈し彼は思っていたよりも相手が強く殺されそうになるも、ビルから落ちて蟲をクッションがわりにして地上に落ちた。彼は地上に叩きつけられたのではなく…乗用車に落下したのだった。激しい衝撃で車は大破し、爆発した。そこには「櫻井夢美(幼)」とその両親が乗っていた。その事故は彼女の命は奪わなかったが、両親の命は奪った。意識朦朧とするなか「煉悟」にさらわれてしまう…。彼は何故拾ったのか…良心からか?自分のせいで両親を死なせてしまった償いか?否、彼は蟲の苗床にするためにさらったのだ。自分の蟲はほとんどいない状態、かつ女蟲使いに報復するため。言い忘れていたが、彼は冷血漢である。

※蟲は女性の子宮に卵を植え付け育て、時期になると膣を通って無理矢理でてくる。苗床とは卵を植え付けるため、そう呼ばれる。とても蔑称的であまり良い表現ではないが…これもこの世界故である。

こうして少女に自分の蟲の卵を植え付けると、一族の村から盗んできた伝説の蟲、獣魔蟲が生まれる卵を試そうと彼は考える。子宮はもう卵でいっぱいなので、アナルに突っ込んだ。いうまでもないが少女は叫び苦しむ。植え付けの際に破瓜の痛み、並びにアナルを無理矢理こじ開けるという痛みを覚えた。その後日、彼は少女を使い性欲処理を行い少女をますます苦しめる。日に日に少女の腹は膨らみ、妊婦以上の肉体となる。彼はくつくつと笑い楽しくその少女が苦しむ姿を見た。時は満ちて、少女は無理矢理出産をすることになる。小さい少女の肉体はなんとか大量の蟲を産む。子宮から芋虫のようなものを数多く産み、アナルからはダンゴムシナウシカのオウムのような形の蟲を産む。すぐに使える蟲を求めていた彼はその伝説の蟲を見てがっかりする。何故なら使えそうにないグズだったからだ…。 女蟲使いを倒すと、前作の「志藤蓮」を匂わせる「レン」が相手にでてくる。「煉悟」は慎重に行動し、「西正人」に手を借りながらなんとか「レン」を撃退する。しかしその当日に少女が産んだ蟲を帰ってきたら殺して蟲の餌にするとその蟲の母親に気紛れの宣告をした。最初は蟲嫌いな少女は息子を酷く当たったが、共に生活していると母親としての心が芽生えたのか、その日息子を守る手段に出ることに決めた。息絶え絶えの「煉悟」は自分の住処に帰ってくると少女によって斬殺された。少女は息子を守り、自分の自由を手に入れてこの住処を後にする。こうして母親「櫻井夢美」とその息子である蟲くんの15年に渡る親蟲(おやこ)の物語が始まる。

※このあとから彼女が主人公になってストーリーが展開されていきます。

 次にゲーム要素。

 先にも書いたようにゲーム要素はありませんが、チャート進行でシーンスロットを選択してこの遍歴を見ていく。ここが非常に面倒くさい。同じシーンスロットでも分岐分岐で進んでくるので変化する。ということはハマるととことん前に戻ってやり直すということもあって時間を喰う。ルートが見えているのでMinDeaD BlooDよりは楽だが苦である。本当に運という物を持っているプレイヤーならスイスイと楽に最後まで行けるが、たいていは地獄を見る。私もその1人だ。エンディングはもちろん多数ございますので!

 次に[欲の解放]だが前述の通り、その要素は皆無に等しい。1つだけ欲の解放ではないが、ルートによって彼女の性格が変わる。ある事によって右腕を失ってしまい、蟲君が彼女の右腕と同化する。すると少し彼女は大胆で強気になるのだ。あげるならばこれくらい。それも仕方がなく、「櫻井夢美」が主人公かつヒロインなのだからそれは当然なのだ。本当であれば彼女が他の人間を調教し解放やらなにやらする物だが、いくら蟲が存在しようと彼女は息子として接するのだからそれはない。蟲くんも蟲くんで彼女を欲を解放させる対象ではなく母親として接するのだからますます困難である。このブランドの代表作が[欲の解放]がないということになってしまったが、先に書いたように必要ないので良いでしょう。しかし、面白い現象が起きたものだ。

 最後にこの作品のヒロインの対比である。

『蟲使い』のヒロイン「神武美弥香」は決して自ら壁を壊すのではなく、壁が壊れるのを待つのである。『EXTRAVAGANZA 〜蟲愛でる少女〜』にも彼女は登場し、前作同様誘拐されるが、その姿勢は揺るがない。そして彼女は決して作中で母親にはならないが、その包容力と言えばいいのだろうか。これは『蟲使い』の中での話になるのだが、囚われの身でありながらも、同級生の主人公(彼は依頼遂行のため、同じ学校に転校生として潜入する)を信用し、彼の心の弱い部分を彼女はその母親めいたやさしい手で触れるのだ…。まるで絵に書いたような旧式な女性像ではないか。

 対する「櫻井夢美」は壁があれば自ら破壊する。さわりでも書いた、自分(推定年齢10歳)を囚われの身とする男「煉悟」を滅多刺しにするほどの行動力。そこには息子を守りたいという思いもあってだが、前者は絶対にやらない行動である。さらに彼女は決して異性に力を借りない。「南優斗」という男性と恋仲になるが、彼女は自ら蟲使い達の争いの渦中に向かう。心細いから彼を連れて行くことはせずに、待ってるように言うのだ。彼はついていこうとはせず、待つのである。

 辛抱強く、受け止める力、母なる力を備えた旧式女性像「神武美弥香」。自ら行動し、破壊するも昔の強い母親像も持つ新式女性像「櫻井夢美」。この二つの作品、ヒロインをより深く掘り下げ比べていけばフェミニズム論まで発展できそうだが、今回は関係が無いのでそんなことはしません。

 

 

 

 蟲めでのあらすじが長くなってしまったことは仕方がないのです…。私のあらすじでは伝わらないのですが蟲めではものすごく重く、ギトギトです。胃もたれするくらいのビックリ仰天の面白さです。最後は劇的で感動します(T . T)

 今回はこんなところですかね。

 [欲の解放]はここから消えたり出てきたりしますが、ほとんどの作品は『闇の声』が主軸です。蟲がいるというのにその存在を100%活かさないこの蟲くんと櫻井夢美の遍歴はある意味特殊な作品。

少しでも気になればやってみてください。後悔はしませんよ❤️

 

次回はユカか、たろ?ですかね…。