草の上の記し

少女、文藝、エロゲ、音楽、呟き等々

Black Cycの世界①〜闇の声〜

 見よ、果てしなく広がる愛液の海がゆっくりと世界を飲み込む。時に汚れたドレスを脱ぎ捨て今私と沈んでくれるか? 

『TALES FROM PORNOGRAPHIC OCEAN』より

※引用された詩は正確ではない

 

 

 これは踏み込んだエロゲ批評ではないです。ただの私のオナニー、雑記です。紹介し、見えてくるBlackCyc世界に自由に各々が触れるというものです(すこしでも感じてくれたら幸いです)。でもこれを見てやりたくなったら是非、この世界に踏み込んでみて下さい。きっと満足させてくれるでしょう。

 

 

 『闇の声』はBlack Cycの原点、母体であり、この世界の礎である。このBlackCyc世界はここに見られる[欲の解放]が中心になっている。

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 この作品は2001年に発売され、シリーズ化し、2011年にスピンオフではあるが『小夜子』がでている。このことからこのブランドの中で人気作であることは周知の事実である。Black Cycの人気作の一つ。この作品は今後の方針を目前に叩きつけ、自己紹介作品として優れている。

 まず内容のさわりだけを簡単に説明する。友人、知人の学生男女4人は引率として学校の先生を男女1人ずつ連れてサークル旅行をする。その旅行の中で発案者のヨットに乗って沖まで行き楽しむのだが、紛れて密航した少女「七海」を見つけて一同は慌てる。その彼女の目的は人探しだという。訳のわからぬまま一行は青天の霹靂のごとく、大嵐と遭遇する。なんとか皆持ち堪え、絶海の孤島へ流れ着く。そして断崖絶壁の上に、今作の舞台である魔女でも住んでいそうな洋館を認めて、助けを求めて訪ねるのだった。そこには人形のような女召使い「K」と館の主人「小夜子」が住んでいた…。

 ここからゲームの説明に入る。このゲームは「小夜子」と昔から関係がある「闇の声」(後の作品で正体は明らかになる)がこの迷い込んだというより、彼女らが迷い込ませた漂流者達を「小夜子」と「K」を使って全員を堕落、[欲の解放]させて、性の饗宴をゴールとする(時間制限あり)。途中で堕落させた人物は駒として使うことができ、増やし鬼のアダルト版と言ったところか(行動制限あり)。「小夜子」と「K」で登場人物の堕落の仕方が違う所が面白い。そしてその堕落させた人物達を割り当てて、どんな性の遊びをするのかと見て楽しむのが醍醐味。堕落度は三段階あって、三段階目に行き着くと[欲の解放]となる。「七海」は例外で選択肢の中には含まれてはいないが、饗宴の供物となる。全員を堕落させれば、、、要するにクリア!おめでとうと言わんばかりに、皆で「七海」を犯すのだ。

 次にテキストに触れる。この作品のテキストは読み物ではなく、ゲームとしての側面が強いからか登場人物のセリフしかない。けれども全くプレイヤーはそこになんの不満も感じない。このゲームは説明などいらない。ただ、神の視点から人間共の痴態を見て楽しむのだから。

 絵については肉感が溢れ、何よりも今のエロゲより射精しても表現が大袈裟ではないところが良点である。

 演者達にはなんの不足は無かったと私は感じている。……「小夜子」様を担当された夕城粧子さんの声は個人的に好きすぎる。

 さて、ある程度今作の外を粗雑に埋めたところでBlack Cycの世界で度々でてくる重要な要素をこの作品から拾っていこう。

 舞台。大きく人里はなれた大きな建物はよく登場する。サドの世界や度々人の目に触れられないようにしている妖しい儀式などに使われる。堅固なるイメージは閉ざされた世界に繋がり、誰もそこからは逃れることはできない。無政府主義空間の作成に持ってこいの場。

 主人。権力を持った大きな館にはセットでついてくる。「小夜子」様はそれ以上の存在でここに君臨する、いわば絶対的専制君主。サド(たいしたことはしていない誤解大き人間)とは違う、快楽一心主義。

 このブランドの世界を一編でも触れたことがあるものには知っていることだろうが、男が女に変身することがある。「小泉冬姫」はそれを今作で担う。彼は美少年であるがその女々しい容貌を嫌悪していた。嫌い嫌いも好きに同じく、そこを「K」でつつく(せめて調教するような感じ)と認めて享受するのだ。ペニスをなくして女体化させ、他の男、女と交じり愉しむ場面は面白い。

 猫のイメージ(メタオ氏の趣味?)はこのシリーズの定番(逆に犬のイメージは『夢幻廻廊』にて現れる)。これを担うは「水野亜梨栖」。彼女は明るく健全な女性だが、常に他人を、周りというものに気を使いすぎて疲れていることが自分でも気がつかないほど疲れている。ここを「小夜子」でつつくと怠惰で他人のペット、猫へと近づいていくようになる。

 触手はこの世界になくてはならないもの。今後も出てくるので、このくだらない私に付き合ってくれるなら楽しみに。

 

 少なくて申し訳ないが、これ以上特に詳しく書かなくていい思うが故に簡単になるが、ホモセックスに、絵に描いたようなSMプレイに、女を犯したい欲、小夜子様ぁ欲。簡単に言えばエロティシズム要素。殺人はないのだが。

 

 まあこんなところか。

 気になる人はやって下さい。

 個人的に好きな堕落は「八代萌」。「K」でつついていると、殻にこもりオナニー狂いの女になってしまうのである。

 

 

 この第1作目、『闇の声』は特にシナリオは薄く、複雑なゲーム性は無い。だが[欲の解放]が主であり、それを認識すること、それだけがここの場では大事である。これはこの世界第一子であるのだから。そしてそれはこの後に生まれてくる複雑化した作品の軸に組み込まれていく。全ては「小夜子」という存在が因である。この存在は吸血鬼、蟲(少し特殊)として姿を変える。作品の残虐さは増しながらも「小夜子」は彩っていくスパイスとなる…。

 ※この作品は特にこれ以上語ることはない。何故なら大きな行動も、揺れ動く魂の振動がないからである。本当に堕落しかないのである。なのでこうして要素をあげるのみとなってしまった。しかし、次回から取り上げる作品からは深く深く楽しめるものである。だからと言ってこの作品を貶してるわけではない。ここには人間はいない。居るのはただ欲のみである。

 

 短く簡単ではあるが[欲の解放]を芯に置いていることを認め、したごしらえは完了した。ここらでこの話終えて、このシリーズの続編には触れず次は吸血鬼を見ていこう。本来なら蟲が先であるが、その方が都合がよいので。

 

 準備はできた、さあ行こう。

 

 次回はみんな大好き和泉万夜作。