草の上の記し

少女、文藝、エロゲ、音楽、呟き等々

Black Cyc の世界④〜夢幻廻廊〜

 ……ようやく朝の光がいっぱいにさしはじめ、踊っていた連中も残らず帰ってしまうと、ステファン卿と司令官とは、Oの足もとで眠っていたナタリーを起こし、それからOを立ち上がらせ、中庭のまんなかへ引っぱって行って、彼女の鎖と仮面をはずし、彼女をテーブルの上へ押し倒して、二人でかわるがわる彼女を犯したのである。 

     『O嬢の物語』(澁澤龍彦訳)より

 

 

 

 これは踏み込んだエロゲ批評ではないです。ただの私のオナニー、雑記です。紹介し、見えてくるBlackCyc世界に自由に各々が触れるというものです(すこしでも感じてくれたら幸いです)。でもこれを見てやりたくなったら是非、この世界に踏み込んでみて下さい。きっと満足させてくれるでしょう。

 

 

 

 『夢幻廻廊』は小夜子、蟲、吸血鬼を経て2005年に発売された、マゾを中心に置いた特異点

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 対象を扇情、陵辱、殺人。これらを堂々と見せてきたこの世界が、ペットライフADVとして提出してきた。この作品はBlack Cycのもう一つの顔と言っても良いだろう。

 

 

 

 物語のさわり

 『僕には、何もありませんでした』

 自分が何者かわからない裸の主人公は目が覚めると二人の女性を認めた。「環」というお屋敷の女主人と従者である「麻耶」。「麻耶」は主人公が門の前で倒れていたという。何から何まで持っていず、覚えていない不安な彼の中に「環」の声が反響する。

 –そう……妾があなたを拾ったの–

 –どうしたの?–

 –道に迷っていたの?–

 彼にはこの言葉を何度も聞いたことがあり、訳もわからず涙を流した。

 –あなた、何処へも行く場所がないのね……?–

 「環」の声は彼に突拍子も無い言葉を言わせた。

 『ぼくを……ここに置いてください』

 『いくところが……ないんです…』

 それを聞いた彼女はにっこりと微笑み、彼の手に触れた。

 『ど、どんなことでもします。だから……』

 彼は彼女に許しを請うようにお願いをし、知らず知らず興奮を覚えた。

 –自分の居場所は、誰かの役に立つことで得られるものですよ–

 彼には何も無かったから不安になった。続けてお屋敷の女主人は言った。

 –あなたがそうあることを望むのなら、かとるとして屋敷に置いてあげましょう–

 彼にはかとるという言葉に聞き覚えがあったがわからなかった。だが自然と彼は受け入れた。

 『は、はい……そうさせてください……』

 そうして「環」は彼に「たろ」という名前を与えた。彼は自分が以前から「たろ」だったのではないかと感じた。

 喜びを感じながら主人についていくと、四人の女性が待っていた…。

 かとるはいっぷを受けるのが日課のようらしく、交代(プレイヤーが選ぶ)でその四人の女性の中の一人からいっぷを受けることになったのだった。

※かとる 家畜みたいな存在 

※いっぷ 調教

 

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たろ

 

 

 ゲーム内容

 先述した物語のさわりから始まるループモノ。第一段階から始まり、最終段階まで計八段階。それぞれの段階で適したルートへ進めば次の段階へ行ける。同じ日でも赤の日と黒の日と分けられ、少し内容が違う。違いはいっぷの内容や展開である。

 こうして段階を経ることに「たろ」がかとるとして活きがよくなってくる。ここまで言っていなかったがこれは主人公を調教していく内容だ。我々はそれを眺めて楽しむのだ。

 中でも「たろ」が自ら進んで主人に気に入られるように暴力を振るうシーンが好きです。

 ループの中で急に従者と主人関係の純愛物語のようなモノに発展するのも面白い。

 

 小夜子、蟲、吸血鬼と来ていきなりのMをテーマにした作品は異質でありながら、それは決して外部のものではなかったとプレイすると気づく。また違う、良い側面です。

 

 ゲーム性は薄いです。通常の美少女ゲーと同じく選択肢を選ぶだけです。

 

 

 

 以降、自分の感じたこと 思ったこと

 ※少しネタバレ含む

 このゲームに関して一番感じたことはマゾ原理主義です。この作品は役割ということに拘っていて、場合によっては別の役割の人間が違う役割をしても一向に構わないということがあります。例えば女主人役が死ねばその役にその中の人間で補うのです。進めている内に誰が誰をやっても構わない、その役割があればいいようなニュアンスを含んだことまで言葉にしてこちらに言ってくる。お屋敷がそうして存続されてきたのを見ると、そこに集団動物である人間が作り出した社会そのものがうかがえる。そして登場人物はその集団の中の役割には逆らえず、役割に忠実に守り生きていく(例外あり)。どんないっぷをしようとも、どんないっぷを受けようとも、それが役割である以上守らなくてはならない。これでは受刑者しかいない…ではS、執行人はどこにいるのだろうか? それは集団、役割だろう。サド、マゾという関係は対立構造(そうではないと僕も思いますが)ではなく、集団の役割にひれふし、誰もがMだと言わんばかり。全体的にそんなふうな主張を感じました。

 

 

 「たろ」はその中で何も持っていない、わからなかった自分をそのお屋敷で発見し、たろになり大団円を迎えるのである。すべてはお屋敷(全)のため…。

 

 

 見えない対象に皆が皆屈服しているのだと考えると面白い構図だなと思った。マゾ原理主義に思え、何故か頷いてしまう。決して悪くない内容です。

 

 

 集団、役割に対して日々の我々はどうだろうか?

 

 

 終わりに

 登場人物をろくに紹介もしてませんが、簡単に済ませてしまいました。興奮して書きたかったものだけを書いたので幼稚なモノです。仕事している最中にいきなり書きたくなって、帰宅してからここにぶちまけました。これぞオナニー。さいこうです。このオナニーで誰かがBlack Cyc に触れてくれたら幸いです。

 

僕が知ってるマゾヒズム小説。

興味があれば。

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最近、両性具有にエロスを感じる。

 最近、両性具有にエロスを感じる。女体ベースに限ったことだけれども…。

 原因はBlackCycの凡作『狗哭(いぬなき)』(まだ最後までやっていないので詳しくありません)のヒロインの「橘逢恵香(たちばなあえか)」。彼女は女体ベースの両性具有であります。

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 これが「橘逢恵香(たちばなあえか)」。

 僕は昔から男根に嫌悪があったのですが、彼女はそれを払拭してくれた(両性具有のみですが)。

 

 

 彼女は両性具有のためシナリオ内で生贄と執行人の役割をします。血生臭いことに限らず、性交渉もその両役に務めます。

 両性具有は一つの役割に留まらないのが魅力で、以前から気になっていたけれども、男根のせいで形として直視したいものではありませんでした。しかしそんなことも知らずに読み進めてしまった。知った時にはもう遅く、その認識した場所は彼女が性欲を抑えるために複数他者に犯してもらう濡れ場でした。彼女は性豪の父を持ちながら、両性器を持っていたために性欲が溢れんばかりに持ち合わせているらしい。(エロゲ特有の変な説明ですが、何故か納得してしまう)

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 これがその濡れ場。主人公は覗いています。彼女は縛りあげられ、鞭うたれ、乳首に針を突き刺され、上、下の口も犯される。それも快感になるほどの性欲(?)。

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 二つの絶頂を迎えた精液だらけ。

 

 

 個人的に女体のイくと同時に射精をすることにとても興奮します。特に気に入ったのは彼女がフェラチオしながら女性器ではなく男性器でオナニーし、イッたシーンは唸るくらい興奮し、一人で拍手するほど…。

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 イった後。女性器もイッているらしく淫水が飛び散っているのがミソ。両性具有が本当にこう二つの性器でイけるものなのか興味があります。

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 本祭の生贄。まあ祭りではありがちというか、古来から儀式はたいてい体液が流れたり、死が溢れますから。

 

 しっかりとした女体らしい女体になっているからでしょうか、とても不似合いでエキゾチックのような気さえしてくる。自分がなりたいと心底で思っていたのかと思う。何に。両性具有にか。そうかも知れぬ。そんな気もする。

 生贄役のことしか触れていませんが、執行人役はあまり面白くないので触れません。

 わかる人はわかるはずです。わかった人は僕と一緒にお酒を飲みましょう!(強制)。

 

 ここで触れるとは思ってもみなかったこの作品。『ク・リトル・リトル 〜魔女の使役る、蟲神の触手〜』よりは読める内容です。個人的な意見なので相手にしないでくださいな。

 

 画像が荒いのは許してください。

 次回はテキトーな構成…テキトーな文章…テキトーな画像…ではなくなるのかな? 気分次第ですね。暇つぶしみたいなもんですから。次回はエロゲか、今回みたいなやつか高尚なポルノ小説。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Black Cycの世界③〜蟲使い・蟲くんと櫻井夢美の遍歴〜

 蟲は竿役、[欲の解放]を促す道具、かつ家族にもなる。

 

 

 

 これは踏み込んだエロゲ批評ではないです。ただの私のオナニー、雑記です。紹介し、見えてくるBlackCyc世界に自由に各々が触れるというものです(すこしでも感じてくれたら幸いです)。でもこれを見てやりたくなったら是非、この世界に踏み込んでみて下さい。きっと満足させてくれるでしょう。

 

 

 

 『蟲使い』は『闇の声』が当時看板であった2003年に[欲の解放]要素をそのままに、それを促す役を逸脱した人間ではなく蟲という道具に近い武器異生物にあげた作品。

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 『EXTRAVAGANZA 〜蟲愛でる少女〜』はそれから3年経った2006年に登場。この作品は[欲の解放]を手放し、前者の世界を押し広げてゲーム要素を殺しシナリオを重視したBlack Cycの金字塔であり、不朽の代表作。(流れに逆らったソフトマゾ作品『夢幻廻廊』、オカルティックにかつダークさを減らした『闇の声』にシナリオをのせたような作品『ゴア・スクリーミング・ショウ』、とブランドの色を変色させていっている時期)

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 この二つの作品のヒロインの特徴が対になっているのでそこも面白い。

 まず『蟲使い』のさわりを。

 主人公は蟲使いの「志藤蓮」。彼は滅ぼされた蟲使いの一族の生き残りで、もう1人姉に相当する幼馴染みの歳上の女性「風ノ宮紫愛」と共に生活していた。

 彼ら蟲使いは暗殺などを生業とする闇の世界の住人で、現代に取り残された旧い一族である。それは1人の男によって2人の目の前で滅ぼされた。男は蟲使いが対抗できない力を持っており、尽く敗れていった。2人は運良く生き延びることができたのだった。

 そんな過去を持つ彼らは犯罪まがいの仕事を貰い衣食住を保っていた。

 ある日大財閥の神武コーポレーションの会長令嬢「神武美弥香」を誘拐する依頼が舞い込んでくる。誘拐するにも彼女のガード達を無力化しなければ事は運べない。そこで「蓮」は7人も護衛はいるが、全て女であることをいいことに蟲を使い責めて、無力化し監禁することに決めた(制限時間有り)。

 次にゲーム要素。

 日の終わりごとに蟲に経験値を割り当てて育成し、護衛と戦う。強敵には淫蟲を使い事前に弱らせておく([欲の解放(肉欲)])ことも。

※やはりここが個人的に好き。ユーリアさんは個人的に好き。

 難易度は高くありませんのでご安心を。楽しく屈服させよう!!

 プレイ内容は蟲を使った異生物性交が主。それがどういうものなのか知らない人は新世界の扉を開くことになります。

 この7人を攻略し誘拐を無事成功させて終わり!……ではなく、「神武美弥香」メインのストーリーが展開されていきます。そしてそこにあの蟲使いの一族を滅ぼした男が送られてくる。

 ここがこの作品の特徴です。前半はゲーム要素なのに対し、後半はシナリオが盛り込まれているという変わった内容。他のキャラは影が薄くなってしまいますが、彼女がメインヒロインですから仕方がありません。

 次に[欲の解放]。この作品は肉欲を無理矢理視覚化させる。性欲を淫蟲で彼女らの肉体に産ませ、それを大きくし、戦闘で火照りまくった身体を責める。『闇の声』よりゲーム性は面白く、女ソルジャーを屈服させて楽しむ人はこの作品の方が向いている。小夜子役は蟲という道具、武器に変身してこの作品の中心に座するのである。

 この作品は短編に近いのでここまでとし、次に大長編の『EXTRAVAGANZA 〜蟲愛でる少女〜』を見ていく。

 まずさわりを。

 蟲使いの一族から抜け出してきた「煉悟」は神武コーポレーションと関わりのある蟲を研究している「西正人」に拾われ、彼の持っている蟲のデータをとらせて報酬をいただき、生活をしていた。

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極悪非道の小物です。

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こちらは大人気の西先生です。通称Dr.West

 

ある日「西正人」から蟲使いの女と戦い、データをとらせてほしいと仕事を貰う。その蟲使いは「煉悟」を追っていた。当日深夜のあるビルの屋上で、戦闘は苛烈し彼は思っていたよりも相手が強く殺されそうになるも、ビルから落ちて蟲をクッションがわりにして地上に落ちた。彼は地上に叩きつけられたのではなく…乗用車に落下したのだった。激しい衝撃で車は大破し、爆発した。そこには「櫻井夢美(幼)」とその両親が乗っていた。その事故は彼女の命は奪わなかったが、両親の命は奪った。意識朦朧とするなか「煉悟」にさらわれてしまう…。彼は何故拾ったのか…良心からか?自分のせいで両親を死なせてしまった償いか?否、彼は蟲の苗床にするためにさらったのだ。自分の蟲はほとんどいない状態、かつ女蟲使いに報復するため。言い忘れていたが、彼は冷血漢である。

※蟲は女性の子宮に卵を植え付け育て、時期になると膣を通って無理矢理でてくる。苗床とは卵を植え付けるため、そう呼ばれる。とても蔑称的であまり良い表現ではないが…これもこの世界故である。

こうして少女に自分の蟲の卵を植え付けると、一族の村から盗んできた伝説の蟲、獣魔蟲が生まれる卵を試そうと彼は考える。子宮はもう卵でいっぱいなので、アナルに突っ込んだ。いうまでもないが少女は叫び苦しむ。植え付けの際に破瓜の痛み、並びにアナルを無理矢理こじ開けるという痛みを覚えた。その後日、彼は少女を使い性欲処理を行い少女をますます苦しめる。日に日に少女の腹は膨らみ、妊婦以上の肉体となる。彼はくつくつと笑い楽しくその少女が苦しむ姿を見た。時は満ちて、少女は無理矢理出産をすることになる。小さい少女の肉体はなんとか大量の蟲を産む。子宮から芋虫のようなものを数多く産み、アナルからはダンゴムシナウシカのオウムのような形の蟲を産む。すぐに使える蟲を求めていた彼はその伝説の蟲を見てがっかりする。何故なら使えそうにないグズだったからだ…。 女蟲使いを倒すと、前作の「志藤蓮」を匂わせる「レン」が相手にでてくる。「煉悟」は慎重に行動し、「西正人」に手を借りながらなんとか「レン」を撃退する。しかしその当日に少女が産んだ蟲を帰ってきたら殺して蟲の餌にするとその蟲の母親に気紛れの宣告をした。最初は蟲嫌いな少女は息子を酷く当たったが、共に生活していると母親としての心が芽生えたのか、その日息子を守る手段に出ることに決めた。息絶え絶えの「煉悟」は自分の住処に帰ってくると少女によって斬殺された。少女は息子を守り、自分の自由を手に入れてこの住処を後にする。こうして母親「櫻井夢美」とその息子である蟲くんの15年に渡る親蟲(おやこ)の物語が始まる。

※このあとから彼女が主人公になってストーリーが展開されていきます。

 次にゲーム要素。

 先にも書いたようにゲーム要素はありませんが、チャート進行でシーンスロットを選択してこの遍歴を見ていく。ここが非常に面倒くさい。同じシーンスロットでも分岐分岐で進んでくるので変化する。ということはハマるととことん前に戻ってやり直すということもあって時間を喰う。ルートが見えているのでMinDeaD BlooDよりは楽だが苦である。本当に運という物を持っているプレイヤーならスイスイと楽に最後まで行けるが、たいていは地獄を見る。私もその1人だ。エンディングはもちろん多数ございますので!

 次に[欲の解放]だが前述の通り、その要素は皆無に等しい。1つだけ欲の解放ではないが、ルートによって彼女の性格が変わる。ある事によって右腕を失ってしまい、蟲君が彼女の右腕と同化する。すると少し彼女は大胆で強気になるのだ。あげるならばこれくらい。それも仕方がなく、「櫻井夢美」が主人公かつヒロインなのだからそれは当然なのだ。本当であれば彼女が他の人間を調教し解放やらなにやらする物だが、いくら蟲が存在しようと彼女は息子として接するのだからそれはない。蟲くんも蟲くんで彼女を欲を解放させる対象ではなく母親として接するのだからますます困難である。このブランドの代表作が[欲の解放]がないということになってしまったが、先に書いたように必要ないので良いでしょう。しかし、面白い現象が起きたものだ。

 最後にこの作品のヒロインの対比である。

『蟲使い』のヒロイン「神武美弥香」は決して自ら壁を壊すのではなく、壁が壊れるのを待つのである。『EXTRAVAGANZA 〜蟲愛でる少女〜』にも彼女は登場し、前作同様誘拐されるが、その姿勢は揺るがない。そして彼女は決して作中で母親にはならないが、その包容力と言えばいいのだろうか。これは『蟲使い』の中での話になるのだが、囚われの身でありながらも、同級生の主人公(彼は依頼遂行のため、同じ学校に転校生として潜入する)を信用し、彼の心の弱い部分を彼女はその母親めいたやさしい手で触れるのだ…。まるで絵に書いたような旧式な女性像ではないか。

 対する「櫻井夢美」は壁があれば自ら破壊する。さわりでも書いた、自分(推定年齢10歳)を囚われの身とする男「煉悟」を滅多刺しにするほどの行動力。そこには息子を守りたいという思いもあってだが、前者は絶対にやらない行動である。さらに彼女は決して異性に力を借りない。「南優斗」という男性と恋仲になるが、彼女は自ら蟲使い達の争いの渦中に向かう。心細いから彼を連れて行くことはせずに、待ってるように言うのだ。彼はついていこうとはせず、待つのである。

 辛抱強く、受け止める力、母なる力を備えた旧式女性像「神武美弥香」。自ら行動し、破壊するも昔の強い母親像も持つ新式女性像「櫻井夢美」。この二つの作品、ヒロインをより深く掘り下げ比べていけばフェミニズム論まで発展できそうだが、今回は関係が無いのでそんなことはしません。

 

 

 

 蟲めでのあらすじが長くなってしまったことは仕方がないのです…。私のあらすじでは伝わらないのですが蟲めではものすごく重く、ギトギトです。胃もたれするくらいのビックリ仰天の面白さです。最後は劇的で感動します(T . T)

 今回はこんなところですかね。

 [欲の解放]はここから消えたり出てきたりしますが、ほとんどの作品は『闇の声』が主軸です。蟲がいるというのにその存在を100%活かさないこの蟲くんと櫻井夢美の遍歴はある意味特殊な作品。

少しでも気になればやってみてください。後悔はしませんよ❤️

 

次回はユカか、たろ?ですかね…。

 

 

 

 

Black Cycの世界②〜MinDeaD BlooD〜

 

 

 −世界は血と欲に満ちている−

 

 

 これは踏み込んだエロゲ批評ではないです。ただの私のオナニー、雑記です。紹介し、見えてくるBlackCyc世界に自由に各々が触れるというものです(すこしでも感じてくれたら幸いです)。でもこれを見てやりたくなったら是非、この世界に踏み込んでみて下さい。きっと満足させてくれるでしょう。

 

 

 

 『MinDeaD BlooD 〜支配者の為の狂死曲〜』、『MinDeaD BlooD 〜麻由と麻奈の輸血箱〜』は人間と吸血鬼を対立構造に置いた作品。第一作目『闇の声』の[欲の解放]を受け継いでいるBlack Cycの正統作品である。

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 この二つの作品は2004年に発売された。前者が本編で後者がファンディスク(本編では触れられなかった話などが入っている)。後の2019年冬にこの作品の世界と背景をセルフパロディした短編作『SaDistic BlooD』が出ている。

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※今回は主に上の二つの作品まとめて一つの作品『MinDeaD BlooD』として見る。二つの作品の話に何の関係性も見られない『SaDistic BlooD』は最後に簡単にしか触れない。

 まずはさわりを。

 主人公、「七瀬しずる」はミイラになっていた自分を復活させた全裸の「麻由(姉)」と「麻奈(妹)」を眼前に認める。場所はこの少女らが住んでいるの館の地下、彼女達の父のミイラコレクション置き場である。父、母が不在のため、暇つぶしでたまにこうしてミイラに一滴ほど血をやり、動けるようにし、愉しんでいる。そんな習慣の彼女らにたまたま「しずる」は当たったのであった。本来ならこうして復活したミイラは行為の果てに消滅してしまうのだが、「しずる」は異なった。愉しんだ後、彼女らは珍しい吸血鬼と認め、共に生活することを許す。彼に吸血鬼ハンターの存在を教えた「麻由」と「麻奈」だったが、舞台である海上人工都市「千砂倉」を吸血鬼で一杯にし完全に手中に収めるという話で盛り上がり(「麻奈」は乗り気ではない)そういう方向で行動を開始する。

 次にゲームの内容について。

 基本は「麻由」と「麻奈」(以後「まゆまな」)「しずる」が駒となり、この2つの駒をエリアに振り当てて従者を増やしクリアを目指す(時間制限60日)。エリアごとに吸血対象が2つあり、「まゆまな」と「しずる」で吸血対象は変わる。(対象の取り替えはできないのが悲しい)吸血対象には吸血度があり、上限一杯にするとハンターがそのエリア制圧しにくるので返り討ちにしなければそのエリアは陥落し、拠点にできなくなってしまう。ハンターは強いので「しずる」の力を蓄えて(血を吸う)おかなければゲームオーバー。時間制限一杯でもゲームオーバーとなる。今回はこれにルート分岐が加えられ、前回紹介した作品からはかけ離れた難易度でかつマルチエンディング。これに満月の日は吸血欲が上がるといった設定もあり、計画的にやらなければ上手く事が運ばないようになっている。最初の方で聞いた従者を増やして侵略をするという話をまともに受け入れてプレイすると、行き着くさきは二つのエンドかゲームオーバーになる。だからプレイヤーはいろんな可能性を考えてゲームを進めよう!!何をやっても上手くいかない場合は公式HPにあるヒントを見ましょう。

※個人的にはこのブランドの作品群の中でもトップクラスに面倒くさい。

 

 このゲーム性に長編シナリオ、エロティシズム要素が加わり、配合分量は的確でバランスが良い作品。個人的にはこの時期のBlack Cycの代表作。

 

 吸血鬼設定はヴァンパイアと吸血鬼が融合しつつオリジナリティ(日に当たっても体力げ削られるだけ。十字架、大蒜は効果がない。肉欲増加(エロゲだから)。主従関係は血を吸う吸われるということが本質ではない)が加えられている。

 

 そしてこの世界には欠かせない[欲の解放]に話を移そう。

 この作品は堕落ではなく変異によって[欲の解放]を可能せしめる。今回はただ理性の壁、社会的人間の皮を剥いで[欲の解放]をさせるのではなく、人間から吸血鬼という無法地帯な存在にし欲の解放をさせる。しかし闇の声のようにキャラクターに応じた欲というものは確固として備わっていないのだ。描かれるのは吸血鬼がために人間の体液を求め、肉欲に溺れる。しかし「田上」氏だけは例外で血を求めつつも、自分の凌辱され発狂してしまった妹のために、それと同じ行動をするひどい男達を処刑し回るのだ(麻奈による吸血鬼化)。

※個人的には吸血鬼設定と主人公達との主従関係と本来の目的を崩さないのも良いが他のキャラクターのコンプレックスや行き場のない怒りや欲などを設定して田上のように単体で暴れさせて欲しかった。個性を強く出して欲しかった。しずる達の命令は聞くが、その命令外ではそれを当てるなど。吸血鬼だから人間以上のハードプレイができる点は大きいが……。要するにもう少し『闇の声』成分が欲しかった。容量、資金の問題もあるのでしょうが。

 

 『闇の声』は閉ざされた館や田舎の学校、個人のプライベート世界において暴れるのであった。本作は吸血鬼に姿を変えて、世界に解放されている人口都市の中で暴れる。前作とは違く、[欲の解放]を閉じられた世界で行うのではなく、開かれた外で行われ完全な無政府主義の地では行われない。これはシナリオの長編化とバトル要素が加わったからであろう。

※この作品がでる前に『蟲使い』でも同じ。

 本作はこのような形体である。

 

 今回はシナリオにも触れる。『闇の声』にシナリオが全く無かったというと嘘になるが、本作と比べると小説の挿絵くらいしか入っていない。まあ軽くしか触れません。ネタバレしない程度に。

 

 この作品のシナリオ担当があの和泉万夜氏なので、ルートによっては大変残酷な絵とテキストが待っている。エリアの一つに学園があるのだが、それが主なるルートになると……。

※学園ルートが一番エリアの中で重いのは『闇の声Ⅱ』で出来なかったことをやりたい万夜さんの欲があったのではないかと考えています。話す機会があったら伺いたいです。

 『闇の声Ⅱ』、『蟲使い』は最後に一騎討ちという熱いベタな展開を持ってきたように本作でもそれは反復される。後の作品でもそういうベタな展開がある。

※彼かメタヲ氏かはたまた誰かの趣味。個人的には彼だと思う。

 シナリオを読み進めていく内に、人間と吸血鬼の対立構造の中間にいる人物を絶対どちらかに追いやる流れになる。ここは見所です。

※ある意味登場人物に残酷なことをするなぁと感心しています。中途半端は許さない、そんなBlack Cyc世界の主張。吸血鬼に血を吸われ、被害体であるにもかかわらず、吸血鬼ハンターを担う榊 悠香はこのおかげで一番苦しむ。これがあるからこの作品は好きです。〔凄い個人的な話になるのですが、プレイ当時は正規雇用として時間を捨て働き、疲弊した身体で満足に自分の時間を使えず生きていく道。非正規雇用として働き、自分の時間を多くとり、孤独に自分だけの満足のいく世界を構築しのたれ死ぬという道。この二つの生き方に迷っていた葛藤時期だったので二つの道のどちらかを選ばなければならない榊悠香には私的な感情移入をしてしまった。まあ僕なんかよりも深刻な状況に立たされているので、似たように感じるのは失礼な気がしますが…〕

 しずるの変異(堕落)からの人間(社会的人間)に戻るという闇の声には無かった構図が現出することも。ここも面白いです。

※まあ、どうなるかは察してください。

 要素として陵辱、触手、女性化の要素はもちろん、男根を生やすこともございます。いつもより死に接近プレイもございます。

※気になる人はやろう!というかみんなもやろう!

 

 

 最後に『SaDistic BlooD』。

 これは似たような名前や地名がでてきて、MinDeaD BlooDファンにはたまらない作品だと思う。SEもBGMも同じ(キャラクターが全員新規なので絵も新規)なので、当時やっていた人は懐かしいのではないかと。本作をプレイした後にやると楽しいです。人によってはたくさんの場所で笑えます。

※中身には触れません。MinDeaD BlooDと要素が同じだが、なんの関連性もないセルフパロディ作品ですので、取り上げる必要がないと判断しました。ちなみにやった人にはわかると思いますが、アナルフックギロチンの所が個人的には好きです。 

 

 

 サドシチュエーションで性的興奮なさる方におすすめです。もっとその成分が欲しい方は同ブランドの『EXTRAVAGANZA ~蟲愛でる少女~』かそれでも満足できない方は和泉万夜シナリオ、バグシステムの『死に逝く君、館に芽吹く憎悪』をやりましょう。もちろん気になった方にもおすすめです。

 

 今回は以上です。大きく外殻しか紹介してませんが、細かく知りたい人はやってください。

 

 この後小夜子という形は変形していき、薄れていってしまう流れになりますが、仕方のないことでしょう。常に事物は変化していくので。

しかし、それがこの世界の中心であることは間違いない。

 

 次回は蟲ですかね。

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Black Cycの世界①〜闇の声〜

 見よ、果てしなく広がる愛液の海がゆっくりと世界を飲み込む。時に汚れたドレスを脱ぎ捨て今私と沈んでくれるか? 

『TALES FROM PORNOGRAPHIC OCEAN』より

※引用された詩は正確ではない

 

 

 これは踏み込んだエロゲ批評ではないです。ただの私のオナニー、雑記です。紹介し、見えてくるBlackCyc世界に自由に各々が触れるというものです(すこしでも感じてくれたら幸いです)。でもこれを見てやりたくなったら是非、この世界に踏み込んでみて下さい。きっと満足させてくれるでしょう。

 

 

 『闇の声』はBlack Cycの原点、母体であり、この世界の礎である。このBlackCyc世界はここに見られる[欲の解放]が中心になっている。

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 この作品は2001年に発売され、シリーズ化し、2011年にスピンオフではあるが『小夜子』がでている。このことからこのブランドの中で人気作であることは周知の事実である。Black Cycの人気作の一つ。この作品は今後の方針を目前に叩きつけ、自己紹介作品として優れている。

 まず内容のさわりだけを簡単に説明する。友人、知人の学生男女4人は引率として学校の先生を男女1人ずつ連れてサークル旅行をする。その旅行の中で発案者のヨットに乗って沖まで行き楽しむのだが、紛れて密航した少女「七海」を見つけて一同は慌てる。その彼女の目的は人探しだという。訳のわからぬまま一行は青天の霹靂のごとく、大嵐と遭遇する。なんとか皆持ち堪え、絶海の孤島へ流れ着く。そして断崖絶壁の上に、今作の舞台である魔女でも住んでいそうな洋館を認めて、助けを求めて訪ねるのだった。そこには人形のような女召使い「K」と館の主人「小夜子」が住んでいた…。

 ここからゲームの説明に入る。このゲームは「小夜子」と昔から関係がある「闇の声」(後の作品で正体は明らかになる)がこの迷い込んだというより、彼女らが迷い込ませた漂流者達を「小夜子」と「K」を使って全員を堕落、[欲の解放]させて、性の饗宴をゴールとする(時間制限あり)。途中で堕落させた人物は駒として使うことができ、増やし鬼のアダルト版と言ったところか(行動制限あり)。「小夜子」と「K」で登場人物の堕落の仕方が違う所が面白い。そしてその堕落させた人物達を割り当てて、どんな性の遊びをするのかと見て楽しむのが醍醐味。堕落度は三段階あって、三段階目に行き着くと[欲の解放]となる。「七海」は例外で選択肢の中には含まれてはいないが、饗宴の供物となる。全員を堕落させれば、、、要するにクリア!おめでとうと言わんばかりに、皆で「七海」を犯すのだ。

 次にテキストに触れる。この作品のテキストは読み物ではなく、ゲームとしての側面が強いからか登場人物のセリフしかない。けれども全くプレイヤーはそこになんの不満も感じない。このゲームは説明などいらない。ただ、神の視点から人間共の痴態を見て楽しむのだから。

 絵については肉感が溢れ、何よりも今のエロゲより射精しても表現が大袈裟ではないところが良点である。

 演者達にはなんの不足は無かったと私は感じている。……「小夜子」様を担当された夕城粧子さんの声は個人的に好きすぎる。

 さて、ある程度今作の外を粗雑に埋めたところでBlack Cycの世界で度々でてくる重要な要素をこの作品から拾っていこう。

 舞台。大きく人里はなれた大きな建物はよく登場する。サドの世界や度々人の目に触れられないようにしている妖しい儀式などに使われる。堅固なるイメージは閉ざされた世界に繋がり、誰もそこからは逃れることはできない。無政府主義空間の作成に持ってこいの場。

 主人。権力を持った大きな館にはセットでついてくる。「小夜子」様はそれ以上の存在でここに君臨する、いわば絶対的専制君主。サド(たいしたことはしていない誤解大き人間)とは違う、快楽一心主義。

 このブランドの世界を一編でも触れたことがあるものには知っていることだろうが、男が女に変身することがある。「小泉冬姫」はそれを今作で担う。彼は美少年であるがその女々しい容貌を嫌悪していた。嫌い嫌いも好きに同じく、そこを「K」でつつく(せめて調教するような感じ)と認めて享受するのだ。ペニスをなくして女体化させ、他の男、女と交じり愉しむ場面は面白い。

 猫のイメージ(メタオ氏の趣味?)はこのシリーズの定番(逆に犬のイメージは『夢幻廻廊』にて現れる)。これを担うは「水野亜梨栖」。彼女は明るく健全な女性だが、常に他人を、周りというものに気を使いすぎて疲れていることが自分でも気がつかないほど疲れている。ここを「小夜子」でつつくと怠惰で他人のペット、猫へと近づいていくようになる。

 触手はこの世界になくてはならないもの。今後も出てくるので、このくだらない私に付き合ってくれるなら楽しみに。

 

 少なくて申し訳ないが、これ以上特に詳しく書かなくていい思うが故に簡単になるが、ホモセックスに、絵に描いたようなSMプレイに、女を犯したい欲、小夜子様ぁ欲。簡単に言えばエロティシズム要素。殺人はないのだが。

 

 まあこんなところか。

 気になる人はやって下さい。

 個人的に好きな堕落は「八代萌」。「K」でつついていると、殻にこもりオナニー狂いの女になってしまうのである。

 

 

 この第1作目、『闇の声』は特にシナリオは薄く、複雑なゲーム性は無い。だが[欲の解放]が主であり、それを認識すること、それだけがここの場では大事である。これはこの世界第一子であるのだから。そしてそれはこの後に生まれてくる複雑化した作品の軸に組み込まれていく。全ては「小夜子」という存在が因である。この存在は吸血鬼、蟲(少し特殊)として姿を変える。作品の残虐さは増しながらも「小夜子」は彩っていくスパイスとなる…。

 ※この作品は特にこれ以上語ることはない。何故なら大きな行動も、揺れ動く魂の振動がないからである。本当に堕落しかないのである。なのでこうして要素をあげるのみとなってしまった。しかし、次回から取り上げる作品からは深く深く楽しめるものである。だからと言ってこの作品を貶してるわけではない。ここには人間はいない。居るのはただ欲のみである。

 

 短く簡単ではあるが[欲の解放]を芯に置いていることを認め、したごしらえは完了した。ここらでこの話終えて、このシリーズの続編には触れず次は吸血鬼を見ていこう。本来なら蟲が先であるが、その方が都合がよいので。

 

 準備はできた、さあ行こう。

 

 次回はみんな大好き和泉万夜作。

 

 

 

Black Cyc の世界序〜邂逅〜

 出会いは今から二年前。

 文藝に犯されていた私はエロゲを馬鹿にしていた。ただ好いた女とセックスするだけの取るにたらない性処理道具だと思ってその世界すら目を向けることはなかった。しかしそれは覆ることになる。

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 門扉になったのはEXTRAVAGANZA 〜蟲愛でる少女〜だった。この世界をからかってやるために買ってプレイしたのだが、目に飛び込んできたのは凌辱、そして蟲といわれる異生物との異生交だった。女が犯されまくる世界。そして殺人。私の眼を釘付けにするには容易なことだったろう(この作品を購入した契機は或る人間の勧めなのだが、それは割愛させていただく)。しかもこれにはしっかりとしたシナリオがついていてかつ、エロティシズムを表現するこの作品に私のイメージは破壊され、エロゲという世界は文学の延長線上にあるものだと理解した。視野が狭かった、エロゲ界さんごめんなさいと謝りながら、櫻井夢美と蟲であり子でもある存在の遍歴を追った(詳しくは後に紹介する)。終えた私はこのBlack Cycに感動し、その世界を初めから見ていきたいと思い、他作品もプレイすることとなる。そして今自分の言葉でこの世界を何処かに刻みつけたくなったのだった。

 こうして荒々しく雑で簡単な序文が終わり、私の思い返し、好き勝手論が始まるのである。

 

 ⚠️ク・リトル・リトル 〜魔女の使役る、蟲神の触手〜 以前までの世界を取り上げる。SaDistic BlooDは例外とする。

 

季節の匂い

 何もかもが過ぎ去って変化していくのに、季節の色は変わらない。私の大切な仲間である。

 その色の中には匂いが含まれており、私は特にその季節ごとの匂いが好きだ。何かの植物の匂いが立ち込めているのだと思うが、その方には明るくないのでそこには立ち入らず、ただ季節ごとの匂いで持っているイメージをここに出してみようと思う。自分自身のイメージの整理である。短時間、思うがままに。

 春。入学式、再びあの気に入っている娘と桜の花と花粉が舞い散るのを浴びる午前の校庭。鼻水、くしゃみ、目が痒い。陽気な太陽に脱がれる、冬服。それに対して、真新しく光るのりがききまくりの白のワイシャツ。あの娘の無表情と笑顔。生と死がここにある。

 夏。高温。新スクール水着。汗。塩素系消毒の匂い。更衣室のかびた匂い。裸の娘。思ったより乳が大きく、少し落胆する。水泳。部活。汗の匂い。体操着。すける体操着、すける下着。自然の最大の恩恵に、生きる者は性交で答える。半脱ぎのスクール水着。蝉の鳴き声。冷房。木葉。日陰。父が癌に殺された。

 秋。強風。涼しい。死へ向かう。夕方。枯れ葉。あの娘のポニーテール。中山競馬場。冬服の硬さ。殴る蹴るなどの暴行。わけのわからないムシャクシャ。メタルギアソリッド

 冬。誕生日。クリスマス。死。雪。ゲーム機、ゲームソフト。白。試験。オナニー。インフルエンザ。空が高い。澄んだ空気に、白い息。孤独。引きこもる。

 秋と冬の匂いについては少ないということがわかっただけでも収穫か。時間をかければもっと出そうだが。