草の上の記し

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Black Cycの世界②〜MinDeaD BlooD〜

 

 

 −世界は血と欲に満ちている−

 

 

 これは踏み込んだエロゲ批評ではないです。ただの私のオナニー、雑記です。紹介し、見えてくるBlackCyc世界に自由に各々が触れるというものです(すこしでも感じてくれたら幸いです)。でもこれを見てやりたくなったら是非、この世界に踏み込んでみて下さい。きっと満足させてくれるでしょう。

 

 

 

 『MinDeaD BlooD 〜支配者の為の狂死曲〜』、『MinDeaD BlooD 〜麻由と麻奈の輸血箱〜』は人間と吸血鬼を対立構造に置いた作品。第一作目『闇の声』の[欲の解放]を受け継いでいるBlack Cycの正統作品である。

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 この二つの作品は2004年に発売された。前者が本編で後者がファンディスク(本編では触れられなかった話などが入っている)。後の2019年冬にこの作品の世界と背景をセルフパロディした短編作『SaDistic BlooD』が出ている。

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※今回は主に上の二つの作品まとめて一つの作品『MinDeaD BlooD』として見る。二つの作品の話に何の関係性も見られない『SaDistic BlooD』は最後に簡単にしか触れない。

 まずはさわりを。

 主人公、「七瀬しずる」はミイラになっていた自分を復活させた全裸の「麻由(姉)」と「麻奈(妹)」を眼前に認める。場所はこの少女らが住んでいるの館の地下、彼女達の父のミイラコレクション置き場である。父、母が不在のため、暇つぶしでたまにこうしてミイラに一滴ほど血をやり、動けるようにし、愉しんでいる。そんな習慣の彼女らにたまたま「しずる」は当たったのであった。本来ならこうして復活したミイラは行為の果てに消滅してしまうのだが、「しずる」は異なった。愉しんだ後、彼女らは珍しい吸血鬼と認め、共に生活することを許す。彼に吸血鬼ハンターの存在を教えた「麻由」と「麻奈」だったが、舞台である海上人工都市「千砂倉」を吸血鬼で一杯にし完全に手中に収めるという話で盛り上がり(「麻奈」は乗り気ではない)そういう方向で行動を開始する。

 次にゲームの内容について。

 基本は「麻由」と「麻奈」(以後「まゆまな」)「しずる」が駒となり、この2つの駒をエリアに振り当てて従者を増やしクリアを目指す(時間制限60日)。エリアごとに吸血対象が2つあり、「まゆまな」と「しずる」で吸血対象は変わる。(対象の取り替えはできないのが悲しい)吸血対象には吸血度があり、上限一杯にするとハンターがそのエリア制圧しにくるので返り討ちにしなければそのエリアは陥落し、拠点にできなくなってしまう。ハンターは強いので「しずる」の力を蓄えて(血を吸う)おかなければゲームオーバー。時間制限一杯でもゲームオーバーとなる。今回はこれにルート分岐が加えられ、前回紹介した作品からはかけ離れた難易度でかつマルチエンディング。これに満月の日は吸血欲が上がるといった設定もあり、計画的にやらなければ上手く事が運ばないようになっている。最初の方で聞いた従者を増やして侵略をするという話をまともに受け入れてプレイすると、行き着くさきは二つのエンドかゲームオーバーになる。だからプレイヤーはいろんな可能性を考えてゲームを進めよう!!何をやっても上手くいかない場合は公式HPにあるヒントを見ましょう。

※個人的にはこのブランドの作品群の中でもトップクラスに面倒くさい。

 

 このゲーム性に長編シナリオ、エロティシズム要素が加わり、配合分量は的確でバランスが良い作品。個人的にはこの時期のBlack Cycの代表作。

 

 吸血鬼設定はヴァンパイアと吸血鬼が融合しつつオリジナリティ(日に当たっても体力げ削られるだけ。十字架、大蒜は効果がない。肉欲増加(エロゲだから)。主従関係は血を吸う吸われるということが本質ではない)が加えられている。

 

 そしてこの世界には欠かせない[欲の解放]に話を移そう。

 この作品は堕落ではなく変異によって[欲の解放]を可能せしめる。今回はただ理性の壁、社会的人間の皮を剥いで[欲の解放]をさせるのではなく、人間から吸血鬼という無法地帯な存在にし欲の解放をさせる。しかし闇の声のようにキャラクターに応じた欲というものは確固として備わっていないのだ。描かれるのは吸血鬼がために人間の体液を求め、肉欲に溺れる。しかし「田上」氏だけは例外で血を求めつつも、自分の凌辱され発狂してしまった妹のために、それと同じ行動をするひどい男達を処刑し回るのだ(麻奈による吸血鬼化)。

※個人的には吸血鬼設定と主人公達との主従関係と本来の目的を崩さないのも良いが他のキャラクターのコンプレックスや行き場のない怒りや欲などを設定して田上のように単体で暴れさせて欲しかった。個性を強く出して欲しかった。しずる達の命令は聞くが、その命令外ではそれを当てるなど。吸血鬼だから人間以上のハードプレイができる点は大きいが……。要するにもう少し『闇の声』成分が欲しかった。容量、資金の問題もあるのでしょうが。

 

 『闇の声』は閉ざされた館や田舎の学校、個人のプライベート世界において暴れるのであった。本作は吸血鬼に姿を変えて、世界に解放されている人口都市の中で暴れる。前作とは違く、[欲の解放]を閉じられた世界で行うのではなく、開かれた外で行われ完全な無政府主義の地では行われない。これはシナリオの長編化とバトル要素が加わったからであろう。

※この作品がでる前に『蟲使い』でも同じ。

 本作はこのような形体である。

 

 今回はシナリオにも触れる。『闇の声』にシナリオが全く無かったというと嘘になるが、本作と比べると小説の挿絵くらいしか入っていない。まあ軽くしか触れません。ネタバレしない程度に。

 

 この作品のシナリオ担当があの和泉万夜氏なので、ルートによっては大変残酷な絵とテキストが待っている。エリアの一つに学園があるのだが、それが主なるルートになると……。

※学園ルートが一番エリアの中で重いのは『闇の声Ⅱ』で出来なかったことをやりたい万夜さんの欲があったのではないかと考えています。話す機会があったら伺いたいです。

 『闇の声Ⅱ』、『蟲使い』は最後に一騎討ちという熱いベタな展開を持ってきたように本作でもそれは反復される。後の作品でもそういうベタな展開がある。

※彼かメタヲ氏かはたまた誰かの趣味。個人的には彼だと思う。

 シナリオを読み進めていく内に、人間と吸血鬼の対立構造の中間にいる人物を絶対どちらかに追いやる流れになる。ここは見所です。

※ある意味登場人物に残酷なことをするなぁと感心しています。中途半端は許さない、そんなBlack Cyc世界の主張。吸血鬼に血を吸われ、被害体であるにもかかわらず、吸血鬼ハンターを担う榊 悠香はこのおかげで一番苦しむ。これがあるからこの作品は好きです。〔凄い個人的な話になるのですが、プレイ当時は正規雇用として時間を捨て働き、疲弊した身体で満足に自分の時間を使えず生きていく道。非正規雇用として働き、自分の時間を多くとり、孤独に自分だけの満足のいく世界を構築しのたれ死ぬという道。この二つの生き方に迷っていた葛藤時期だったので二つの道のどちらかを選ばなければならない榊悠香には私的な感情移入をしてしまった。まあ僕なんかよりも深刻な状況に立たされているので、似たように感じるのは失礼な気がしますが…〕

 しずるの変異(堕落)からの人間(社会的人間)に戻るという闇の声には無かった構図が現出することも。ここも面白いです。

※まあ、どうなるかは察してください。

 要素として陵辱、触手、女性化の要素はもちろん、男根を生やすこともございます。いつもより死に接近プレイもございます。

※気になる人はやろう!というかみんなもやろう!

 

 

 最後に『SaDistic BlooD』。

 これは似たような名前や地名がでてきて、MinDeaD BlooDファンにはたまらない作品だと思う。SEもBGMも同じ(キャラクターが全員新規なので絵も新規)なので、当時やっていた人は懐かしいのではないかと。本作をプレイした後にやると楽しいです。人によってはたくさんの場所で笑えます。

※中身には触れません。MinDeaD BlooDと要素が同じだが、なんの関連性もないセルフパロディ作品ですので、取り上げる必要がないと判断しました。ちなみにやった人にはわかると思いますが、アナルフックギロチンの所が個人的には好きです。 

 

 

 サドシチュエーションで性的興奮なさる方におすすめです。もっとその成分が欲しい方は同ブランドの『EXTRAVAGANZA ~蟲愛でる少女~』かそれでも満足できない方は和泉万夜シナリオ、バグシステムの『死に逝く君、館に芽吹く憎悪』をやりましょう。もちろん気になった方にもおすすめです。

 

 今回は以上です。大きく外殻しか紹介してませんが、細かく知りたい人はやってください。

 

 この後小夜子という形は変形していき、薄れていってしまう流れになりますが、仕方のないことでしょう。常に事物は変化していくので。

しかし、それがこの世界の中心であることは間違いない。

 

 次回は蟲ですかね。